登山やキャンプに良い季節になってきましたね。私も冬の時期に比べて登山をしたり、キャンプを楽しんだりする機会が増えてきています。
暖かい季節になってくると気になるのがヒルの存在です。ヒルの中には人の血を吸うヒルがいるのをご存じでしょうか。
ヒルは登山やキャンプをしている人に取り憑き、知らない間に血を吸っています。ヒルに噛まれた後は血が止まらなくなったり、かゆみが出たりします。
見た目もグロテスクでできれば関わりたくない存在ですが、冬以外は活動しており、特に梅雨や秋雨の頃に活発になります。そうすると登山やキャンプを十分に楽しめなくなってしまいますね。
この記事ではヒルの被害にあわないためにどんな対策をすれば良いか、また、被害にあったときにどういった対応をすれば良いかについてお伝えしていきます。
ヒルは登山やキャンプの天敵
私はヒルと聞くとあまり良いイメージを持ちません。できれば登山やキャンプで楽しんでいる時には関りを持ちたくないですね。
ただ、被害を受けないためにはヒルについて色々知っておくことが重要です。
色々知ることで、正しい対処の仕方や予防方法が見えてきますので、まずはヒルとはどんな生物かを確認していきましょう。
ヒルの種類
ヒルと一口に言っても、日本には約60種類のヒルがいると言われています。その中で、人の血を吸うヒルとして有名なのが、ヤマビル、チスイビルです。
ヤマビルは陸に生息する吸血性ヒルで、一般には山地の森林に生息しています。一方のチスイビルはヤマビルと違い、日本各地の淡水の湿地、水田に生息しています。
そのため、ヤマビルは登山時や山林にあるキャンプ場を利用する時に気を付ける必要がありますね。
なお、登山やキャンプで被害にあうのは主にヤマビルとなるため、この記事ではヤマビルについてお話していきたいと思います。
ヤマビルの生態
ヤマビルの体長は25~35mm程で伸び縮みが激しく、倍くらいまで伸びます。
活動時期は4月~11月と長く、雨の日や、雨が降った次の日には活発に活動する特徴があります。そのため、梅雨の時期や秋雨の時期などは特に注意が必要です。
また、9月~10月にかけては産卵シーズンとなるため、紅葉時期の山歩きにも気を付なくてはなりません。
ヤマビルは草や石の下、落ち葉の下などの湿気の多いところを好みます。そのため、登山道を歩くときには、日陰になりやすい山側の足元には注意が必要です。
ヤマビルは山地の森林に生息していると前述しましたが、山を構成する地質により生息範囲も変わってきます。
ヤマビルはアルカリ性を好むため、石灰岩(せっかいがん)で構成された地質にいる傾向があり、逆に酸性の花崗岩(かこうがん)で構成された地質にはいない(少ない)傾向にあります。
なお、ヤマビルは生息域を年々拡大していて、以前はヤマビルを見かけなかった山でも今後見かけるようになるかもしれません。
そのため、入山前に、ヒルの生息するエリアかどうかをチェックしておくことをオススメします。そうすることで、事前に対策を立てることができるようになります。
ヤマビルがどのように血を吸っているか
ヤマビルは私たちの吐き出す二酸化炭素や熱を敏感に察知して近づいてきます。そして、移動速度がなんと1分間に1m程もあるんです。
そのため、山登りで数人のパーティを組んでいる場合だと、前を歩いている人より後ろを歩いている人の方が血を吸われる確率が高くなっていきます。
何故かというと、ヤマビルは先頭の人の吐く息や体温を感じ取ってから山道に向かって移動するため、ヤマビルが山道につく頃には先頭の人は既に先を歩いていて、ちょうど歩いてきた後ろの人に取り憑くためです。
ヤマビルは足元から人間の身体へ這い上がってきて、肌が露出した場所を探します。
肌に到達してもすぐには血を吸い始めるわけではなく、肌の柔らかいところや弱いところを見つけて喰いつきます。そのため、手のひらや足の裏などには噛みつくことはありません。
ヤマビルは、肌に喰いつくと唾液腺からヒルジンといわれる物質を分泌します。ヒルジンには麻酔効果があり、血液が固まりにくくなるといった特徴があります。
それにより、噛まれても痛みを感じることがなく、気が付かないまま血を吸われ続けてしまうといったことになってしまいます。
また、気が付いてヤマビルを肌から剥がした際も、ヒルジンの効果により血液が固まらず、血が止まらないといった影響もあります。
ヤマビルに噛まれないための対策
ヤマビルに噛まれないためには対策が非常に大事です。あんなグロテスクな生き物には触れられたくないですからね。
服装面からの対策と行動面からの対策を見ていきましょう。
服装面での対策
肌を露出しない
ヤマビルは服の上から噛みつくことはほとんどありません。そのため、山に入る時の服装としては、長袖・長ズボンを着用するようにしましょう。
ショートパンツをはく場合には、その下にタイツを履くようにすることで、噛みつかれにくくすることが可能です。
さらに、ヤマビルは隙間があればその隙間から衣服の中まで侵入してきます。そのため、ズボンの裾を靴下の中に入れるとより侵入を阻止することができます。
靴下の内側にストッキングを履くのも有効とも聞きます。ただ、ストッキングの上から靴下を履と、靴下がずれやすくなってしまうといったデメリットもあるため、考慮した上で検討してみましょう。
忌避剤(きひざい)を衣類にスプレーする
忌避剤はヤマビルに忌避行動(近寄らせない行動)をとらせる薬剤です。ヤマビルファイターやヒル下がりのジョニー等の市販されている薬剤があります。
多くの物はスプレータイプですので、事前に衣類や靴等にスプレーし乾かしておくことでヤマビルを寄せ付けません。
ヤマビルファイターのAmazon評価には、ジャングルの中でも一度もヒルに襲われなかったという心強い評価もありました。(嘘かホントかは分かりませんが、、)
また、忌避剤を吹き付けたタオルを首や足首に巻くことも対策となります。その際は、忌避剤を吹きかけた部分が直接肌に触れないように気を付けて下さい。
ハッカ水をスプレーする
ヤマビルにはハッカ油も有効で、ハッカ油と無水エタノール、精製水(もしくは水道水)を混ぜたハッカ水をスプレーすることでも忌避効果があります。
100均等で売っているスプレーボトルに入れれば携帯することもできるので便利ですね。なお、ハッカ油はプラスチックを溶かしてしまうため、PS(ポリスチレン)表記の物は避けましょう。
混ぜる割合としては、ハッカ油:20滴、無水エタノール:10ml、精製水:90mlです。ハッカ油を作成する手順としては、ハッカ油とエタノールを混ぜ、その後、精製水を混ぜます。
ハッカ油はヤマビル以外でもアブやブユ等も寄せ付けない効果があるため、ヤマビルファイター等の忌避剤と合わせて使うとなお効果的です。
なお、塩水を衣類や靴、ザックにスプレーしておくことでもヤマビル対策になりますが、靴やザックを痛める原因になるため、使用後はケアを行ってください。
ギアを痛める可能性があるので、私としては塩水をスプレーするのはおススメしません。ちょっと手間でもハッカ水を作成することをおススメします。
行動面での対策
休憩する時も安心してはいけません。そして、休憩時こそ気を付けなければなりません。なんせ1分で1mも移動してきますからね。
なので、休憩時に腰を下ろす際には、そこに息を吹きかけてヒルがいないか確認しましょう。いた場合は座るのをあきらめる覚悟をして下さい。
もしくは忌避剤をレジャーシートにスプレーし、安全に座れるエリアを確保しましょう。そして、ズボンには忌避剤をしっかりスプレーしておきましょう。
また、ザックなどの持ち物は地面に直接置かない方が良いです。ザックを下ろした時にヤマビルがザックに取り憑き、ザックから衣服内に侵入される恐れがあります。
対策としては木にザックを引っかけて、地面に直接触れないようにすれば大丈夫です。
ヤマビルに噛まれたら
対策をしていても、どこかから忍びよって血を吸ってくるのがヤマビルです。ヤマビルに噛まれてしまった時の対応も確認しておきましょう。
ヤマビルを引き剥がす
ヤマビルに噛まれていることに気付いた場合は、まずはヤマビルを肌から引き剥がしましょう。
ただし、ヤマビルは噛みつくとなかなか引き剥がせません。無理やり引き剝がそうとすると体が引きちぎれ、口だけが残り化膿してしまう原因にもなります。
そのため、以下のような方法で引き剥がすようにして下さい。
- 塩水をかける
- タバコやライターの火を当てる
塩水をかける
塩水は、飽和食塩水(もうこれ以上溶けない状態の塩水)を用意し、100均等で売っているスプレーボトルに入れておき、吹きかけます。
塩水を用意する手間はありますが、安価で用意することができます。
もしくは、塩を直接振りかけても構いません。
ただし、塩水を使用した際、靴やザックにかかるとギアが痛んでしまうため、塩水がかかってしまったら良く洗い流しておくようにしましょう。
たばこやライターの火を当てる
たばこやライターを利用し、ヤマビルを直接火で炙っても剥がすことが可能です。ただし、火を使うので、火傷には十分注意して行ってください。
忌避剤も有効なのですが、忌避剤自体が直接肌に触れてしまうのは避けた方が良いです。
そのため、ザックや衣服にヤマビルがついている場合は忌避剤を使用しても良いですが、既に肌に噛みついている場合は塩水をかけたり、火で炙った方が良いです。
なお、忌避剤が肌についてしまった場合は乾く前に水でよくすすいで下さい。その後、肌に異常があった場合はお医者さんに診てもらって下さい。
応急処置をする
ヤマビルに噛まれると、ヒルジンの影響で血はすぐには止まりません。そして、想像以上の血が出ますので、落ち着いて対処しましょう。知らないと結構焦ると思います。
まずは、傷口を流水で洗浄していきます。この時、ヒルジンを絞り出すイメージで傷口を絞りながら洗い流します。
しっかり洗うことで、その後のかゆみの軽減につながります。洗浄後には、抗ヒスタミン剤(虫刺され薬やかゆみ止め薬)を塗るとかゆみが抑えられるので、備えておくと安心ですね。
安全に登山とキャンプを!!
いかがだったでしょうか。
これからのシーズンは山に入ると、ヤマビルに遭遇する確率がぐんと高まってきます。登山やキャンプを楽しむためには事前に調査と対策をしておいた方が良いですね。
充実した登山とキャンプをする際に参考になれば幸いです。
それでは登山とキャンプを楽しみましょう!!
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